でっぷりとしたワイン
昨晩は友人と神楽坂のバーを訪ねて、アルマニャックを2種類、グランシャンンパーニュを1種類を1時間半ほどかけて楽しんだ
1935年アルマニャックは、強く丸い味の印象に加えて、樽香が強い。大戦をくぐり抜けて、僕の口までやってきてくれたことにしばし感激を覚える。1本8万という値段も理解できる。前回は1900年のグランシャンパーニュだったと思うが、それと比較するとアルマニャックの成長は、その太さ甘さを倍加させる点に特徴があるようだ。その点、グランシャンパーニュは繊細な香りが倍加すると感じる。
やはり葡萄だなぁと思いつつ楽しんでいると、隣の人が楽しんでいたウィスキーのグラスを向けられる。そこからは立ち上る紫煙のような香りが広がっている。「なんだこの強い香りは!とても穀物の蒸留酒の香りではない!」という驚きを覚える。自身の視野の狭さを感じさせた。気が向いたら試してみよう。
その他にもチーズをジンにつけて食べる方法を教えてくれた。乳臭さというか、酸味がうまく消えてチーズの香りが強調される。昔、銀座ではよく用いられていた方法だそうだ。本当にいろいろなことを教えてくれる。
そして、最後まで僕の目の前に立って開けられなかったワインのボトルがあった。それをついに開けてもらえることができた。それは非常に糖度の高いイタリアワイン。とても食中酒として楽しめるような代物ではない。ゆえに食中酒全盛のワイン市場では高値では売れなくなってしまったワイン。マスターが教えてくれた買値は驚くほど安かった。一度は3倍の値段はついていたというから、寂しい。都内に6本だそうだ。その名は『Speri RECIOTO Della Valpolicella 1998』 一口飲むと巨峰を皮とともに噛み締めたような甘さが口の中に広がる。ピリリとした酸味が舌をつつく感覚も楽しい。初めての体験に驚きながら、目の前でゆっくりとデカンタに注がれるワインを見つめる。これが3日後、6日後とその味を変化させていく。次の月曜日と木曜日、予定が出来た。ゆっくりと楽しむ事としよう。
ここのマスターとは、食に関する感性が非常に合う。安くても本当に旨いものを足で探している。『本当に旨いモノを食べていれば、値段に関わらず本当に旨いものが分かる』と語る。こんな味覚を磨く事が、本当の食道楽だと思う。値段・佇まいにこだわらず自信を持って旨いと語られる感覚、本質を見抜く力は大切にしたい。