南フランスと前衛絵画
銀座にて「南フランス、近代美術創造の地」と題された講演会に出席した。サン=トロペ美術館館長のジャン=ポール・モヌリ氏を迎えてのものである。
19世紀の終わりから20世紀の初めにかけて、パリで抑圧された画家たちが自由な場所を求めて訪れたのが南フランス。シニャックを先駆けに、ボナール、スーラ、マティスなど様々な画家が訪れ、対象の原型・色彩に囚われない絵画を生み出していったそうだ。その変遷は、当初色合いの変化から始まり、徐々に構図の抽象化へと向かっていく。私は最近訪れた南仏の経験からなんとなく彼らの気持ちを感じ取った気がした。
パリで前衛的な絵画を否定された画家たちが、その抑圧的な“都会”から移った瞬間、美しい景色・降り注ぐ太陽・乾いた風といった素晴らしい土地に出会う。当初はその開放感に周りの景色を切り取っていく、その色彩豊かな世界をむさぼり食っているかのようである。
たしかに南フランスは美しい。しかしながら、私は彼らのクリエイティビティの源泉は、南フランスの気候や土地だけではないように思う。パリという都会からの距離、情報からの遮断、といったことが彼らの飛躍を可能にしたような気がする。
情報インフラの発達によって狭くなる社会。我々は、他人の評価とは無縁に自分の思いに専念できる場所を確保できるのだろうか、、、
それとも“他人の評価を気にかけない”能力を持たなければならないのだろうか。
拡大する情報インフラが、“批判者”ではなく“共鳴者”の存在を知らせてくれる存在へと発展してくれることを祈りたい