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2005年02月09日

『哲学の現在-生きることと考えること-』中村雄二郎著を読んで

堅苦しい文章に疲れて流し読み、ただ一点面白かったのでメモする

ドイツの詩人エンツェンスベルガーが取りあげた、メディアが民衆に与える影響についての事例

「ドイツの自分の何代もまえから住んでいる家に、古い戸棚があって、何かの折りにその奥に手を入れたところ、太いひもで括られた小さな、古ぼけた手紙の束が出てきた。何かと思ってほどいてみたら、なんとそれは、若いときに祖父と祖母とが互いに宛てて書いた愛の手紙の数々であった。ところで、これらの手紙を分析してみると、ある事実が明らかになった。これらの愛の手紙は、その時代やその社会に広く読まれた作家の小説や手紙の一つの反響であり反映であるということである。とくにゲーテの小説や手紙は、祖父母の世代の多くのドイツの若者達に、学校や家庭での読書を通じて、恋愛の手順や感情の表現について一定の形式を与えずにはおかなかった、と(「制度としての文学」)。」

 自分の心からの表現と思って用いている表現は、実はメディアを通じて得た“表現方法”という知識から影響を受けていることらしい。
 たしかに、一度知ってしまった知識の影響を排除することは困難であり、このようにメディアへの接触頻度や手段が多様化した社会では、他者の価値観が自分の中に流入することを拒絶しづらい。
 そのような時代になると、「自分としての表現」=「他者への反動」となりがちな気がする
 他人と同じは嫌、オリジナリティが大切、世界に1つだけの花。ぜーんぶ実は他者への反発によってもたらされた鏡面世界なのかもしれない。
 そうなると、トレンドは、「善と悪」「アナログとデジタル」「女らしさと男っぽさ」「ゴージャスとシンプル」など、極端な Binary Oppositionを交互に迎えるだけなのだろうか。

と飛躍してみる

2004年08月20日

生きてるべき?それとも死ぬべき?

三島由紀夫の『葉隠入門』を読み終えた
いわゆる“戦争中に用いられた書物”というレッテルほどの内容ではない。

“死”を常に意識していれば、有意義な生き方が出来るはずというメッセージを強く押し出すと共に、不様な・本意でない生き方を強く否定している。
武士として特権を与えられ、米を農民から吸い上げる人間には、常に自らの考えを示し・規律を重んじ・他者を思いやらなければならない、厳しい生き方が要求されるということだろう。至極真っ当である。

しかしながら一般人の人生に求めるには少し酷な内容なのかもしれない。多くの現代人には関係の無いことでしょう。小さな生き方には小さな責任です。

一方で、人・社会を動かそうとする・動かす立場にある人には、是非この『葉隠』の気負いで生きていただきたい。大きな生き方には、大きな報いとともに大きな責任もセットで付いてくるのです
“報い”しか目に入っていない人、多いです。
でもね、死ぬ必要は無いと思います。皆でその不様を嘲笑する程度にとどめましょう。

さんまが、娘さんの名前の由来としてよく言いますが『生きてるだけで丸儲け』、僕の好きなコトバ。
これ実は葉隠のメッセージと同じ、“死”を意識すると、生きていることが尊いことに思えてくるということ。やっぱり、生きているということ、生まれてこられた、ということは尊いよ

P.S.『葉隠』は、聞き取りをもとに書かれたことだけあって矛盾点も少なくないらしい。それを肯定的に擁護・解釈する三島由紀夫の姿勢も強く感じられた。人間にとっての一番のモチベーションは、やっぱり“好き”ってことなんだろうなぁ~とも感じた。

2004年08月16日

読書に浸る

久しぶりに集中して本を読んだ
思想哲学の類の本を、集中して読めたのは何時振りだろうか

森有正の『生きることと考えること』である

著者が、“経験”と“体験”の違いについて述べていた部分が印象的であった
“経験”とは絶えず塗り替えられるものであり、塗り替えることをやめて経験のある一時点にとどまってしまうのが“体験”であると。
 いわゆる成功体験と呼ばれるものに固執して、眼前にある現実を経験として取り込めない人が多いことを考えると、なかなか面白い指摘だと感じた。
 それと同時に、ほぼ同義に使っていたコトバが、これほどの差を持ちうるのかということに驚きを覚えたことで、経験を伴わない安易な言葉遣いに警鐘を鳴らす筆者の意図を少なからず汲み取れた気がした。

 また別の章では、日本の近代化は盲目的なキャッチアップであり、自ら思考しての成長ではないと述べていた。その結末は、キャッチアップし先進国化したにもかかわらず問題解決能力を持ち合わせない国が出来てしまうというものである。まさに今の日本じゃないか...

その道の専門家であることだけが、問題を解く鍵では無いということを強く感じた
思索をめぐらす時間を持ちたいと思った
みなさんにもお勧めしたい